昌子先生は、この年になって急に体の衰えを感じ始めた。
10月に入ると、工事が終わり、50周年記念教室は完成して、
祝賀式を待つばかりとなったが、この時昌子先生は、体を起
こすことすらできない状態であった。
同月23日に、新築した家庭科教室とともに拡張して新装なった
講堂で祝賀式を挙行した。昌子先生の席は空席だった。
学園長の式辞では、新造教頭が代役で挨拶をした。しかし、
昌子先生は、どうしても出席したいと訴え、中断された式の
途中で、卒業生に車椅子に乗せられて、式場に姿を現した。

写真を見る

ウィンドウを閉じる