山口地域情報科学研究会
―― 十周年特集号より(昭和53年6月1日発行) ----


情報科学研究会発足当時の思い出

平田威彦(山口大学工学部)


 情報科学の研究を志す様々な分野の人々の集まりによって本会が構成されつつ10年、お互いに得た情報量は相当にあったと思います。創設以後について何かを書くようにとのことですので、今迄感じてきたことの概略と多少の希望を述べてみたいと思います。

 会の在り方については紆余曲折がありました。先ず最初は設立して2年目位で研究報告や解説に息切れを生じ始めたことです。それまでは、年会費を徴収し、会員名簿も作って毎月研究会を催していましたが、会員数も少ないこと故、種切れになり、急速にスランプ状態に陥りました。このままでは、会は自然消滅・解散ともなりかねないひどい有様でした。

 それでその頃の研究会における議題の1つは会の運営方法に関するもので、現在おこなわれている方式とはその時考案されたものでありました。即ち、研究会は隔月に行って年会費制を廃止し、研究会の度に出席者から200円(学生は100円)徴収する。研究会も研究報告、解説の他に見学会、座談会など幅広く行って息の長いものにしようというものでありました。

 現在は創立当時に比べますと山口県内でも情報部門に携わる方々が非常に増えて参りました。それでもうそろそろこの方式は改められねばならない時期にきており、昨年頃から改革の動きが始まっている訳であります。地域の情報部門人口が多くなったと申しましても未だ社団法人の普通の学会の運営形式をそのまま採ることはできませんので、折り目正しい運営を維持することが無理(実際には1人の幹事しか動きませんので予算立案、会計報告、案内状送付くらいで手一杯となります)であり、しかも誰でも気軽に出席できる会を続けるにはどのような運営形式にしたらよいかは重大な問題であります。

 幸いありがたいことに、本会には計測制御学会のご厚志により昭和42年頃から毎年補助金(現在は15000円)を頂いており、かなり切り詰めれば会員から会費を徴収しなくてもやって行けると現幹事 福田敏宏氏は申しておられます。以上をご参考のうえ名案を出して頂いくようこの紙面を借りて提言申し上げます。

 次に、先のスランプの時代に提案されましたが、合意が得られず見送られ、そろそろ実行を考慮しては如何かと思われる土井政則氏のご意見があります。それは本会が中心となるテーマを選び文部省に科学研究費を申請しようというものであります。このようなことができるのも本会の特色であると考えられます。そして、研究成果が上がれば、本会の存在意義が益々確固なものとなります。

 とりとめもなく次の雑案を申し上げます。
 玄界灘に住んでいるイルカはイルカの中でも一番頭の良い種類のもので、魚を片っ端から食ってしまって人間はそのオコボレをとらしてもらっているそうです。彼等を退治しようとすると裏をかかれて全部逃げられ、全く捕らえることができない。どうやら彼ら同志で会話をしているらしいということです。そこで、彼らの言語を研究史、彼らと漁業協定を結ぼうという話(1年前の新聞より)があります。
 これは研究テーマになりませんね。(昭和53年6月1日)

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