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第七段  一力の段

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dainana dan
底本の一部

(1996年1月14日現在)
¥T 第七 *
L7¥J哥ハル¥¥花に遊ばゞ/祗園{ぎおん}あたりの色/揃{ぞろ}へ。¥J中ウ¥¥東方南方北方西方。¥Jハル¥¥みだの/浄土{じやうど}か¥J中¥¥ぬりに/塗{ぬり}
立「テ」ぴつかりぴか++。¥Jハル¥¥光りかゝやくはくや/芸子{げいこ}にいかなすいめも。/現{うつゝ}ぬかして。¥J下¥¥ぐどん¥Jウ¥¥どろつく
¥Jウ¥¥どろつくや¥Jハル¥¥ワイワイノワイトサ□百¥Jナヲス詞¥¥誰{たそ}頼ふ。/亭主{ていしゆ}は居ぬか。亭主++。□友是はいそがしいは。どいつ様じや。ど
なた様じや。ヱ/斧{おの}九太様。御/案内{あんない}とはけうとい++。□百イヤ初「メ」てのお方を/同道{どう++}申「シ」た。きつう
取「リ」込「ミ」そふに見へるが。一「ト」つ上「ケ」ます座敷「キ」が有か。□友ござります共。/今晩{こんばん}は/彼{かの}由良大/尽{じん}
の御/趣向{しゆかう}で。名有「ル」色達「チ」を/掴{つかみ}込。下座敷「キ」はふさがつてござりますれど。/亭{ちん}座敷「キ」が明「イ」て
ござります。□百そりや又/蜘{くも}の/巣{す}だらけで有ふ。□友又悪「ル」口を。□百イヤサよい年「シ」をして。女
郎の蜘の巣にかゝらまい/用心{ようじん}。□友コリヤきついは。下に置「カ」れぬ二/階{かい}座敷。ソレ/灯{ひ}を
ともせ中居共。お/盃{さかつき}おたばこ/盆{ぼん}と。高い/調{てう}子にかせかけて¥Jウ¥¥奧は/騒{さはき}の/太鼓{たいこ}三味
□百¥J詞下¥¥伴内殿。由良助が/体{てい}御らうしたか。□信九太夫殿。ありやいつそ気/違{ちが}ひでござる。
段々貴様より御/内通{ないつう}有ても。あれ程に有ふとは。主人師直も存ぜず。拙「ツ」者に罷
/登{のぼつ}て見届「ケ」。心得ぬ事あらば。/早速{さつそく}にしらせよと申付「ケ」ましたが。扨++++/我{が}もへんしも
折「レ」ましてござる。/C{せがれ}力弥めは何と致したな。□百こいつも折節此所へ参り/倶{とも}に/放埒{ほうらつ}。指合
くらぬがふしぎの一「ト」つ。今「ン」/晩{ばん}は/底{そこ}の底を/捜{さがし}見んと。心/工{たくみ}を致して参つた。/密{みつ}々にお咄し
申そふ。いざ二/階{かい}へ。□信先「ツ」々。□百然らばかうお出。¥J三下リ哥ハル¥¥じつは心に。¥Jウ¥¥思ひはせいで¥J中¥¥あだな¥Jハル¥¥ほれた
++の口先「キ」は¥J下¥¥いかゐ。¥Jハル¥¥つやでは¥J中¥¥有はいな。□信¥J詞¥¥弥五郎殿。喜多八殿。是が由良「ノ」助殿の遊
び茶屋。一「チ」力「キ」と申「ス」のでござる。コレサ平右エ門。よい時分「ン」に呼出そふ。勝手に/扣{ひかへ}てお
居やれ。□政/畏{かしこま}りました。/宣{よろ}しう頼上ます。□信誰「レ」ぞちよと頼たい。□友アイ++どな様「ン」じやへ。
□信イヤ我々は由良殿に用事有「ツ」て参つた。奧へいていはふには。/矢間{やさま}十太郎。千「ン」崎弥五郎。
竹森喜多八でござる。此間より/節々{せつ++}迎「イ」の人を遣はしますれ共。お帰りのない故。三人「ン」連「レ」で
参りました。ちと御/相談{さうだん}申さねばならぬ義がござる程に。お逢なされて下されと/急
度{きつと}申「シ」てくれ。□友夫「レ」は何「ン」共気の/毒{どく}でござんす。由良様「ン」は三日/以来{このかた}呑/続{つゞけ}。お逢なされ
てからたはゐは有「ル」まい。本「ン」性はないぞへ。□信ハテ扨まあそふいふておくりやれ。□友アイ++。□信弥
五郎殿お聞なされたか。□文承はつて驚「キ」入「リ」ました。初「メ」の程は敵へ聞する/計略{けいりやく}と存「ジ」ましたが。
いかふ遊びに/実{み}が入過「キ」まして。合点が参らぬ。□百何「ン」と此喜多八が申「シ」た通「リ」。/魂{たましゐ}が入「レ」かはつて
こざらふがの。いつそ一「ト」間へふん込「ミ」。□信イヤ++とくと/面談{めんだん}致した上。□文成「ル」程。然らば是に待「チ」ませふ。
□友手の。¥J色¥¥/鳴{なる}方へ。++。++□此とらまよ。++。□友由良おにやまたい。++。□此とらまへて酒/呑{のま}そ。
++。コリヤとらまへたは。サア酒々。/銚子{てうし}持「テ」++。□信イヤコレ由良助殿。/矢間{やさま}十太郎でござる
こりや何「ン」となさるゝ。□此なむ三宝/仕舞{しまふ}た。□友ヲヽ気の毒何と/栄{さかへ}さん。ふしくた様なお
侍様方。お連「レ」様「ン」かいな。□文さあれば。お三人共こはい顔して。□信イヤコレ女郎達「チ」。我々は大星殿
に用事有「ツ」て参つた。/暫{しばら}く座を立「ツ」て貰{もらひ}たい。□友そんな事で有そな物。由良様「ン」奧
へ行ぞへ。お前も早うお出。皆様「ン」是にへ。□信由良助殿。矢間十太郎でござる。□百竹森喜
多八でごさる。□文千崎弥五郎御/意得{ゐゑ}に参つた。お目/覚{さま}されませう。□此是は打/揃{そろ}ふてよふ
お出なされた。何「ン」と思ふて。□信鎌倉へ打立「ツ」/時候{じこう}はいつ比でごさるな。□此さればこそ。大事の
事をお尋なれ。丹波与作が哥に¥J哥ハル¥¥江戸三/界{がい}へいかんして¥Jナヲス詞¥¥ハヽヽヽヽ御免候へたはい++。¥J三人¥¥ヤア酒の
/酔{ゑい}本「ン」性/違{たが}はず。/性根{しやうね}が付「カ」ずば三人が。酒の酔を/醒{さま}さしませうかな。□政ヤレ聊尓なさ
れまするな。/憚{はゞかり}ながら平右エ門めが。一言「ン」申上「ケ」たい義がござります。暫くお/扣{ひかへ}下されま
せう。由良「ノ」助様。寺岡平右エ門めでござります。御/機嫌{きげん}の/体{い}を/拝{はい}しまして。いか計「リ」大悦「ツ」
に存奉ります。□此フウ寺岡平右とは。ヱヽ何「ン」でゑすか。前かど/北国{ほつこく}へお/飛脚{ひきやく}にいかれた。
足のかるい足/軽{かる}殿か。□政左様でござります。殿様の御切「ツ」腹を北国にて承はりまして。なむ
三宝と/宙{ちう}を/飛{とん}で帰りまする道にて。お家も召「シ」上られ一家中ちり※※と。/承{うけたまは}つた時の
無念「ン」さ。奉公こそ足軽なれ。御恩はかはらぬお主の/怨{あた}。師直めを一「ト」討と鎌倉へ立越
三ヶ月か間/非人{ひにん}と/成「ツ」て付「ケ」/狙{ねら}ひましたれ共。敵は用心「ン」/厳{きび}しく/近寄{ちかよる}事も叶ませず。所
/詮{せん}腹かつさばかんと存「シ」ましたが。国元の親の事を思ひ出しまして。すご++帰りました。所に。
天道様のおしらせにや。いづれも様方の一味連「ン」判の様子承はりますると。ヤレ嬉しや有がた
やと。取「ル」物も取あへず。あなた方の/旅宿{りよしゆく}を尋。/一向{ひたすら}お頼申上ましたれば。出かしたういやつ
じや。お/頭{かしら}へ願ふてやろとお詞にすがり。是迄/推参{すいさん}仕りました。師直屋敷の。□此アこれ++++。
ア其元「ト」は足がるてはなふて。大きな口がるじやの。何「ン」と/牽頭{たいこ}持「チ」なされぬか。尤みたくしも。/蚤{のみ}
の/頭{かしら}を/斧{よき}でわつた程無念「ン」な共存じて。四五十人一/味{み}を/拵{こしら}へて見たが。アあぢな事の。
よう思ふて見れば。/仕損{しそん}じたら此方の首がころり。/仕負{しおほ}せたら跡で切「ツ」腹。どちらでも死
ねばならぬ。といふは/人参{にんじん}/呑{のん}で首くゝる様な物。殊に其元「ト」は五両に三人扶持の足軽
お腹は立られな。はつち坊主の/報謝{ほうしや}米程取「ツ」て居て。命を捨て敵討「チ」せうとは。
そりや/青{あを}のり/貰{もら}ふた礼に。太々/神楽{かぐら}を打「ツ」様な物。我等知行千五百石。貴様と
くらべると。敵の首を/斗升{とます}ではかる程取「ツ」ても/釣{つり}合ぬ++。所でやめた。ナ聞へたか。/兎角{とかく}浮
世は¥Jヲンドハル¥¥かうした物じや。¥J中¥¥つゝてん++++。¥Jナヲス詞¥¥なぞと引「ツ」かけた所はたまらぬ++。□政是は由良「ノ」助様のお
詞共覚ませぬ。/僅{わづか}三人/扶持{ふち}取拙「ツ」者めでも。千五百石の御/自分{じふん}様でも。/繋{つなき}ました
命は一「ト」つ。御/恩{おん}に高下はござりませぬ。押「ス」に押「サ」れぬはお家の筋目。殿の御名代もなされ
まする。/歴{れき}々様方の中へ。見るかげもない私めが。/指加{さしくは}へてとお願ひ申「ス」は。/憚{はゞかり}共/慮外{りよぐはい}共。
ほんの/猿{さる}が人/真似{まね}。お/草履{ざうり}を/掴{つかん}で成共。お/荷持{にもつ}をかづいて成「リ」共さんじませう。お供に召「シ」
連「レ」られて。ナ申「シ」。コレ申「シ」。++。是はしたり寐てござるそふな。□百コレサ平右エ門。あつたら口に風ひか
すまい。由良助は死人も同然。/矢間{やさま}殿。千「ン」崎殿。モウ本「ン」心は見へましたか。申合せた通「リ」/計{はから}
ひませうか。□文いか様。一味/連判{れんばん}の者共への見せしめ。いさいづれもと立寄「ル」を。□政ヤレ¥J地色ハル¥¥しば
らくと平右エ門¥Jウ¥¥押「シ」なだめ¥J色¥¥/傍{そば}に寄。¥J詞¥¥つく※※思ひ廻しますれは。主君にお別れなされて
より。/怨{あた}を/報{むく}はんと様々の/艱難{かんなん}。木にも/萱{かや}にも心を置「キ」。人の/譏{そしり}無念「ン」をば。じつとこ
たへてござるからは。酒でもむりに参らずば。是X命も/続{つゞき}ますまい。¥J地中ハル¥¥/醒{さめ}ての上の御/分
別{ふんべつ}と¥Jウ¥¥無理に押「サ」へて三人を。¥J三人中ウハル¥¥伴ふ一「ト」間は善悪の。¥Jウ¥¥明「カ」りを/照{てら}す/障子{しやうじ}の内¥J中トル¥¥かげを隠すや。
¥J上¥¥S月の入。¥J地色ハル¥¥山/科{しな}よりは一里半/息{いき}を切たる/嫡子{ちやくし}力弥。¥J中ウ¥¥内をすかして正/体{たい}なき父が/寐姿{ねすがた}。
¥Jウ¥¥/起{おこ}すも人の耳/近{ちか}しと¥Jウキン¥¥枕元に¥Jウ¥¥立寄「ツ」て。¥Jハル¥¥/轡{くつわ}にかはる刀の/鍔音{つばおと}。¥Jウ¥¥/鯉{こい}口ちやんと¥J色¥¥打/鳴{なら}せば。□此¥Jハル¥¥むつ
くと/起{おき}て¥J色¥¥ヤア力弥か。¥J詞¥¥こい口の音/響{ひゞか}せしは/急用{きうよう}有「ツ」てか/密{ひそか}に++。□友只今御台かほよ様より。
急のお/飛脚{ひきやく}/密事{みつじ}の御状。□此外「カ」に御口上はなかつたか。□友敵高「ノ」師直/帰国{きこく}の願ひ
叶ひ。近「ン」々本国へ罷帰る。/委細{ゐさい}の義はお文との御口上。□此よし++。其方は宿へ帰り。
夜の内に迎「イ」の/駕{かご}いけ++。□友¥J地ハル¥¥はつとためらふ隙もなく¥Jフシ¥¥山科さして引返す。□此¥J地ウ¥¥先「ヅ」様子
気遣「ヒ」と¥Jハル¥¥状の/封{ふう}じを¥J中¥¥切所へ。□百¥J詞¥¥大星殿。由良殿。/斧{おの}九太夫でござる。¥J地ハル¥¥御意得ませふ
と¥J色¥¥声かけられ。□此¥J詞¥¥是は久しや++。一年「ン」も逢ぬ内。寄「ツ」たぞや++。/額{ひたい}に其/皺{しは}のばしにお出か。
アノ爰な/筵{むしろ}/破{やぶり}めが。□百イヤ由良殿。大/功{こう}は/細瑾{さいきん}を/顧{かへりみ}ずと申「ス」が。人の/譏{そしり}も/構{かま}はず
/遊里{ゆうり}の遊び。大/功{こう}を立「ツ」る/基{もとひ}。/遖{あつはれ}の大/丈夫{ぢやうぶ}末頼もしう存る。□此ホヲヽ是は/堅{かた}いは++。
石火矢と出かけた。去「リ」とてはおかれい。□百イヤア由良「ノ」助殿とぼけまい。/誠{まこと}貴殿「ン」の/放埒{ほうらつ}は。
□此敵を討「ツ」/術{てだて}と見へるか。□百おんでもない事。□此忝い。四十に/余{あま}つて色/狂{ぐる}ひ。/馬鹿{ばか}者
よ。気/違{ちがひ}よと。笑はれふかと思ふたに。敵を討「ツ」術「テ」とは九太夫殿。ホヽウ嬉しい++。□百スリヤ其
元「ト」は。主人塩冶の/怨{あた}を/報{ほう}ずる所存「ン」はないか。□此けもない事++。家国を渡す折から。城を
枕に討「チ」死といふたのは。御台様への/追従{ついしやう}。時に貴様が。上「ミ」へ/対{たい}して朝敵/同然{どうぜん}と。其/場{ば}を
ついと立「ツ」た。我等は跡に「ト」。しやちばつて居た。いかゐたわけの。所で仕廻「イ」は付「カ」ず。御/墓{はか}へ参
つて切腹と。裏門からこそ++++。今此/安楽{あんらく}なたのしみするも貴殿のおかげ。昔のよしみ
は忘れぬ++。/堅{かた}みをやめて/砕{くだけ}おれ++。□百いか様此九太夫も。昔思へば/信太{しのだ}の/狐{きつね}。ばけ
顕はして一/献{こん}くもふか。サア由良殿。久しぶりだお盃「キ」。□此又/頂戴{てうだい}と/会所{くわいしよ}めくのか。□百さしお
れ呑「ム」は。□此呑「ミ」おれさすは。□百てうど受「ケ」おれ¥J地色ウ¥¥肴をするはと/傍{そば}に有合「フ」¥Jハル¥¥/鮹肴{たこさかな}。¥Jウフシ¥¥はさん
でずつと/指出せば。□此¥J詞¥¥手を出して。足を/戴{いたゞ}く/鮹肴{たこさかな}。¥J地色ウ¥¥忝いと戴「イ」て¥Jハル¥¥/喰{くは}んとする。□百¥Jウ色¥¥手を
じつととらへ。¥J詞¥¥コレ由良「ノ」助殿。明日は主君塩「ン」冶判官の御命「イ」日。取分「ケ」/逮夜{たいや}が大切「ツ」と申「ス」が。
見ごと其肴貴殿はくふか。□此たべる++。但「シ」主君塩冶殿が。鮹になられたといふ/便宣{びんぎ}が有「ツ」
たか。ヱ/愚痴{ぐち}な人では有「ル」。こなたやおれが浪人したは。判官殿が/無分別{むふんべつ}から。スリヤ/恨{うらみ}こそ有「レ」
/精進{しやうじん}する気/微塵{みぢん}もごあらぬ。お/志{こゝろざし}の肴/賞翫{しやうくはん}致すと¥J地ハル¥¥何気もなく。¥Jウ¥¥只一「ト」くちに
あぢはふ風情。□百¥Jウ¥¥/邪智深{じやちふか}き九太夫も¥Jフシ¥¥/鰻oあきれ}て。詞もなかりける。□此¥J詞¥¥扨此肴では呑「メ」ぬ++。
/鶏{にはとり}しめさせ/鍋焼{なべやき}させん。其元「ト」も奧へお出。女郎共うたへ++と。□百¥J謡ハル¥¥足元「ト」もしどろも
どろの浮/拍手{びやうし}。¥J色¥¥テレツク++ツヽテン++。¥J地ハル¥¥おのれ末社{まつしや}共。¥Jウ中¥¥めれんになさで置「ク」べきかと¥Jハル¥¥/騒{さはぎ}に。¥Jハル¥¥まぎれ入に
ける。□信¥J地色ウ¥¥/始終{しゞう}を見/届{とゞけ}/鷺坂{さぎさか}判内。¥Jハル色¥¥二/階{かい}よりおり立。¥J詞¥¥九太夫殿子細とつくと見届「ケ」
申「シ」た。主の命「イ」日に精進さへせぬ/根性{こんじやう}で。敵討存「シ」もよらず。此通「リ」主人師直へ申
聞「ケ」。用心「ン」の門をひらかせませう。□百成「ル」程/B早{もはや}御用心「ン」に及ばぬ事。□信コレサまだこゝに。
刀を忘れて置「キ」ました。□百ほんに誠に大/馬鹿{ばか}者の/証拠{しやうこ}。/嗜{たしなみ}の/魂{たましゐ}見ましよ扨
/錆{さび}たりな/赤鰯{あかいわし}。□信ハヽヽヽヽ。□百/弥{いよ++}本心「ン」顕はれ御/安堵{あんど}++。ソレ九太夫が家来迎「イ」のかご。
□信¥J地ハル¥¥はつと/答{こたへ}て¥J色¥¥持出る。□百¥J詞¥¥サア判内殿お召「シ」なされ。□信先「ツ」。御/自分{じぶん}は/老体{らうたい}ひらに++。
□百¥Jフシ¥¥然らば御免「ン」と/乗移{のりうつ}る。□信¥J詞¥¥イヤ九太殿。承はれば此所に。勘平が女房が勤ておると聞
ました。貴殿「ン」には御存「ジ」ないか。¥J地ハル¥¥九太夫殿。++といへど/答{こた}へず¥Jウ¥¥コハふしぎと。¥Jウ¥¥/駕{かご}の/簾{すだれ}を¥J色¥¥引「キ」明「ケ」れば。
内には手ごろの¥Jハル¥¥庭の飛石。¥J詞¥¥コリヤどふじや。九太夫は/松浦{まつら}さよ姫をやられたと。¥J地ウ¥¥見廻す
こなたの¥Jハル¥¥/椽{ゑん}の下より。□百¥J詞¥¥コレ++判内殿。九太夫がかごぬけの/計略{けいりやく}は。B前「ン」力弥が/持参{ぢさん}せし
/書翰{しよかん}が心元「ト」なし。様子見/届{とゞけ}跡よりしらさん。やはり我等が帰る/体{てい}にて。貴殿「ン」は其/駕{かご}に
ひつ/添{そふ}て。□信¥J地ハル¥¥合点++と/点頭{うなづき}合。¥Jウ¥¥駕には人の有「ル」体に¥Jフシ¥¥見せてしづ++立帰る。□文¥Jハルフシ¥¥折に
二/階{かい}へ。¥J中ウハル¥¥勘平が妻のおかるは/酔{ゑい}さまし。¥Jウ中¥¥はや里なれて吹風に。うさをはらして居る所へ。
□此¥J詞¥¥ちよといてくる。由良助共有ふ侍が。大事の刀を忘れて置「イ」た。つゐ取「ツ」てくる其間にかけ物
もかけ直し。/炉{ろ}の/炭{すみ}もついでおきや。アヽそれ++++。こちらの/三味線{しやみせん}ふみおるまいぞ。是は
したり。九太はいなれたそふな。¥J三下リ哥ハル¥¥父よ母よと¥Jウキ¥¥泣声聞「ケ」ば。¥Jウ¥¥妻に/鸚鵡{あふむ}の。¥Jウキン¥¥うつせし/言{こと}の
/葉{は}。¥J詞フシ¥¥ヱヽ何じやいな¥Jウキン¥¥おかしやんせ。□此¥Jハルフシ¥¥あたり見廻し。¥J中¥¥由良「ノ」助。¥Jウ¥¥/釣灯籠{つりとうらう}のあかりを¥Jハル¥¥てらし。
¥Jウ¥¥/読長{よむなが}文は御台より敵の様子こま++と。¥Jウ¥¥女の文の跡やさき。¥Jハルフシ¥¥まゐらせ候ではかどらず。
□文¥J地ハル¥¥よその恋よとうらやましくおかるは¥Jウ¥¥上より見おろせど。¥Jウ¥¥夜目/遠{とを}目なり¥Jウ¥¥/字性{じしやう}も
おぼろ。¥Jウ¥¥思ひ付「イ」たるのべ/鏡{かゞみ}。¥Jフシハル中¥¥出して/写{うつ}して¥Jハル¥¥/読{よみ}取「ル」/文章{ふんしやう}。□百¥J中ウ¥¥下「タ」家よりは九太夫が。¥Jウ¥¥くり
おろす文¥J下キン¥¥月かげに。すかし読「ム」とは。□文¥Jハル¥¥神ならず¥Jウ¥¥ほどけかゝりしおかるが/玉笄{かんざし}。¥Jウ¥¥ばつたり
¥J色¥¥落れば。□此¥Jウ¥¥下にははつと見上「ケ」て/後{うしろ}へ隠す文。□百¥Jハル¥¥/椽{ゑん}の下には猶ゑつぼ。□文¥Jウ¥¥上には/鏡{かゞみ}の
¥J色¥¥かげ隠し。¥J詞¥¥由良さんか。□此おかるか。そもじはそこに何してぞ。□文わたしやおまへにもり
つぶされ。あんまりつらさに/酔{ゑひ}さまし。風にふかれて居るはいな。□此ムウ。ハテなふ。よう
風にふかれてじやの。イヤかる。ちと咄したい事が有「ル」。屋根/越{こし}の天の川で爰からはいは
れぬ。ちよつとおりてたもらぬか。□文咄したいとは頼たい事かへ。□此まあそんな物。□文廻
つて/来{き}やんしよ。□此いや++。/段梯子{だんばしご}へおりたらば。中居が見付「ケ」て酒にせう。アヽどふせう
な。アヽコレ++幸「イ」爰に九つ/梯子。¥J地ハル¥¥是をふまへておりてたもと。¥Jフシ¥¥小屋根にかければ。□文¥J詞¥¥此梯
子は勝「ツ」手が/違{ちが}ふて。ヲヽこは。どふやら是はあぶない物。□此大事ない++。あぶないこはいは昔の
事。三間「ン」づゝまたげても。赤かうやくもいらぬ年「シ」ばい。□文あほういはんすな。舟にのつ
た様でこはいわいな。□此道理で舟玉様が見へる。□文ヲヽのぞかんすないな。□此/洞庭{とうてい}の
秋の月様をおがみ奉るじや。□文イヤモウそんなら/下{お}りやせぬぞ。□此おりざおろしてやろ。
□文アレ又悪「ル」い事を。□此やかましい/生{き}娘かなんぞのやうに。¥J地ハル¥¥/逆縁{ぎやくゑん}ながらと/後{うしろ}より¥Jハル中¥¥じつと。
抱しめ¥Jフシ¥¥抱おろし。¥J詞¥¥なんとそもじは御らふじたか。□文アイいゝゑ。□此見たであろ++。□文アイなん
じややら/面白{おもしろ}そふな文。□此あの上から/皆読{みなよん}だか。□文ヲヽくど。□此ア身の上の大事と
こそは成「リ」にけり。□文何「ン」の事じやぞいな。□此何の事とはおかる。古「ル」いがほれた。女房に
成「ツ」てたもらぬか。□文おかんせうそじや。□此サうそから出た/真{まこと}でなければ根がとげぬ。おふ
といや++。□文イヤいふまい。□此なぜ。□文お前のはうそから出た/真{まこと}じやない。/実{まこと}から出た/嘘{うそ}じや。
□此おかる受「ケ」出そふ。□文ヱヽ。□此うそでない/証拠{しやうこ}に。/今宵{こよひ}の内に身受「ケ」せう。□文ムウいや
わしには。□此/間夫{まぶ}が有なら/添{そは}してやろ。□文そりやマアほんかへ。□此侍「イ」/冥理{めうり}。三日成「リ」共
/囲{かこ}ふたらそれからは勝「ツ」手次第。□文ハアヽ嬉しうござんすといはしておいてわらをでの。□此いや
/直{すく}に/亭主{ていしゆ}に金渡し。今の間に/埒{らち}さそふ。気遣せずと待「ツ」てゐや。□文そんなら/必{かならず}
待「ツ」て居るぞへ。□此金渡してくる間。どつちへもいきやるな。女房じやぞ。□文夫「レ」もたつた三
日。□此それ合点。□文忝ふござんす。¥J三下リ哥ハル¥¥世にも¥Jウ¥¥/因果{いんぐは}な者なら¥Jウキン¥¥わしが身じや。¥Jウ¥¥かはい男に。
¥Jウキン¥¥いくせの思ひ。¥J下ウ¥¥ヱヽなんじやいな¥Jウキン¥¥おかしやんせ¥Jハル中¥¥忍びねになくさよちどり。□文¥J地ハル¥¥奧でうたふも¥Jフシ¥¥
身の上とおかるは。¥Jノル中ハル¥¥/思案{しあん}取「リ」々の。□政¥J地中ウ¥¥折に出合「フ」平右エ門。¥J詞¥¥妹でないか。□文ヤア兄様か。¥J地ハルウ¥¥恥しい
所で逢ましたと顔を隠せば。□政¥J詞¥¥/苦{くる}しうない。/関東{くはんたう}より戻りがけ。母人に逢てくはしく
聞た。夫「ト」の為お主の為。よく/売{うら}れたでかした++。□文¥J地ハル¥¥そふ思ふて¥J上¥¥下さんすりやわしや¥J色¥¥嬉しい。
¥J詞¥¥したがまあ悦んで下さんせ。思ひがけなう/今宵{こよひ}受「ケ」出さるゝ筈。□政夫「レ」は/重畳{てうぢやう}。何人
のお/世話{せわ}で。□文お前も御存の大星由良「ノ」助様のお世話で。□政何「ン」しや由良「ノ」助殿に
受出される。夫「レ」は下地からの/馴染{なしみ}か。□文何「ン」のいな。此中より二三度酒の相手。夫「ト」が有「ラ」ば/添{そは}して
やろ。/隙{ひま}がほしくば隙やろと。/結構{けつかう}過「キ」た身請。□政扨は其方を。早の勘平が女房と。□文イヱ
しらずじやぞへ。親夫「ト」の恥なれば。明「カ」して何「ン」の言ませう。□政ムウすりや本心/放埒{ほうらつ}者。お主
の/怨{あた}を/報{ほう}ずる所存はないに極つたな。□文イヱ++これ兄様「ン」。有「ル」ぞへ++。高うはいはれぬ。S¥J地ハル¥¥コレかふ
++とさゝやけば。□政¥J詞¥¥ムウすりや其文を慥に見たな。□文残らず/読{よん}だ其跡で。互に
見合す顔と顔。それからしやらつき出してつゐ身請の/相談{さうだん}。□政アノ其文残らず/読{よん}
だ跡で。□文アイナ。□政ムウ。それで聞へた。妹とても遁れぬ命。¥J地色ウ¥¥身共にくれよと¥Jハル¥¥拔「キ」打に
はつしと切「レ」ば。□文¥J詞¥¥ちやつと飛のき。コレ兄様「ン」。わしには何/誤{あやま}り。勘平といふ夫「ト」も有。/急度{きつと}
二「タ」親有からはこな様の/儘{まゝ}にも成「ル」まい。¥J地ハル¥¥請出されて親夫「ト」に。¥Jウ¥¥逢ふと思ふがわしや
たのしみ。¥Jウ¥¥どんな事でも/誤{あやま}らふ。¥J上¥¥/赦{ゆる}して下んせ赦してと。¥Jウキン¥¥手を合すれば。□政平右エ門。¥J上¥¥ぬき
身を捨て¥J中フシ¥¥どうどふし¥J中ノル¥¥ひたんの。¥Jハル¥¥涙にくれけるが。¥J詞¥¥/可愛{かはい}や妹何にもしらぬな。親与市
兵衛殿は六月廿九日の夜。人に切「ラ」れてお果なされた。□文ヤアそれはまあ。□政コリヤま
だ/恟{びつく}りすな。請出され/添{そは}ふと思ふ勘平も。腹切て死「ン」だはやい。□文¥J地色ハル上¥¥ヤア++++それはまあ
¥Jウ¥¥ほんかいの。コレのふ++と¥Jウ¥¥取付「イ」て¥Jスヱテ中¥¥わつと計「リ」に泣/沈{しづ}む。□政¥J詞¥¥ヲヽ道理++。様子咄せばながい事。おいた
はしいは母者人。言出しては泣。思ひ出しては泣。娘かるに聞したら泣死にするであろ。必いふ
てくれなとのお頼。いふまいと思へ共。迚も/遁{のが}れぬそちが命。其/訳{わけ}は。忠義一「チ」/途{づ}に
/凝{こり}かたまつた由良「ノ」助殿。勘平が女房としらねば請出す義理もなし。/元来{もとより}色には
猶ふけらず。見られた状が一「チ」大事請出し/差殺{さしころ}す。/思案{しあん}の/底{そこ}と/慥{たしか}に見へた。よしそふ
なうても/壁{かべ}に/耳{みゝ}。外より/洩{もれ}ても其方が/科{とが}。/密書{みつしよ}を/覗{のぞき}見たるが/誤{あやま}り殺さにや
ならぬ。人手にかきよより我「カ」手にかけ。大事を知「ツ」たる女。妹とて/赦{ゆる}されずと。夫「レ」を/功{こう}に
連「ン」判の。数に入てお供に立「タ」ん。¥J地ハル¥¥/小身{せうしん}者の悲しさは人に/勝{すく}れた心底「イ」を。¥Jウ¥¥見せねば数に
は入られぬ。¥J上¥¥聞分「ケ」て命をくれ死でくれ¥J中¥¥妹と。事を分たる¥Jハル¥¥兄の詞。□文¥Jウ¥¥おかるは/始終{しゞう}¥J上¥¥せき
上「ケ」++。¥Jウ¥¥便「リ」のないは¥Jウ¥¥身の/代{しろ}を。¥Jウ¥¥役に立ての¥Jウ¥¥旅立か。¥Jウ¥¥/暇乞{いとまごひ}にも¥Jウ¥¥見へそな物と。¥Jウ¥¥恨「ン」でば「ツ」かり
¥Jウ¥¥おりました。¥Jウ¥¥/勿体{もつたい}ないがとゝ様は¥Jウ¥¥/非業{ひごう}の死でも¥Jウ¥¥お年「シ」の上。¥Jウ¥¥勘平殿は三十に成「ル」やならず
に¥Jウ¥¥死るのは¥Jウ¥¥/嘸{さぞ}悲しかろ口/惜{おし}かろ。¥Jウ¥¥逢たかつたで有ふのに¥Jウ¥¥なぜ逢せては下さんせぬ。
¥Jウ¥¥親夫「ト」の/¥Jウ¥¥精進{せうじん}をさへ¥Jウ¥¥しらぬはわたしが身の/因果{いんぐは}。¥Jウ¥¥何「ン」の生「キ」ておりませう。¥Jウ¥¥お手にかゝらば/嚊{かゝ}
様「ン」が¥Jウ¥¥おまへをお恨なされましよ。¥Jウ¥¥/自害{じがい}した¥Jウ¥¥其跡で。¥Jウ¥¥首なりと/死骸{しがい}なりと¥J詞¥¥/功{こう}に立「ツ」
なら功にさんせ。¥J地ハル¥¥さらばでござる兄様といひつゝかたな¥J色¥¥取「リ」上る。□此¥J詞¥¥やれまてしばしと
¥J地ハル¥¥とゞむる人は由良「ノ」助。□政¥Jウ¥¥はつと/驚{おどろ}く平右エ門。□文¥J上¥¥おかるははなして¥Jウ¥¥殺してと。□此¥Jウ¥¥あせ
るをおさへて。¥J詞¥¥ホウ兄弟共見上「ケ」た/疑{うたが}ひはれた。兄はあづまの供を/赦{ゆる}す。妹はながらへて。
/未来{みらい}への/追善{ついぜん}。□文¥J地色ハル¥¥サア其追善は/冥途{めいど}の供と。□此¥Jウ¥¥もぎ取「ル」刀をしつかと¥J色¥¥持/添{そへ}。
¥J詞¥¥夫「ト」勘平連「ン」判「ン」には/加{くは}へしかど。敵一人「ン」も討とらず。未来で主君「ン」に/言訳{いひわけ}有「ル」まじ。
其言訳はコリヤ爰にと。¥J地ハル¥¥ぐつと/突{つゝ}込「ム」/畳{たゝみ}の/透間{すきま}。□百¥Jウ¥¥下には九太夫/肩{かた}先「キ」ぬはれ
て¥Jウ¥¥/七顛八倒{しつてんばつとう}。□此¥J詞¥¥それ引「キ」出せの□政¥J地ウ¥¥下知より早く/椽{ゑん}先「キ」飛おり平右エ門。¥Jハル¥¥/朱{あけ}に/染{そん}
だ骸をば無二無三に引「キ」ずり出し。¥Jウ¥¥ヒヤア九太夫めハテよい気味と引「ツ」立「テ」て。¥Jウ¥¥目通「リ」へ投「ケ」
¥J中¥¥付「ク」れば。□此¥Jウ¥¥/起{おき}立せもせず由良「ノ」助¥Jハル¥¥/G{たぶさ}を/掴{つかん}でぐつと¥J色¥¥引寄「セ」。¥J詞¥¥/獅子{しゝ}/身中{しんちう}の虫とは
儕「レ」か事。我君より/高知{かうち}を/戴{いたゝき}。/莫大{ばくたい}の御/恩{おん}を/着{き}ながら。敵師直が犬と成「ツ」て。有「ル」事ない
事よう/内通{ないつう}ひろいだな。四十/余{よ}人の者共は。親に別れ子にはなれ。一/生{しやう}/連添{つれそふ}女
房を君/傾城{けいせい}の/勤{つとめ}をさするも。/亡君{ぼうくん}の/怨{あた}を/報{ほう}じたさ。/寐覚{ねざめ}にも現にも。御
切「ツ」腹の折からを思ひ出して無念の涙。¥J地ハル¥¥五/臓{ざう}六/腑{ふ}を¥Jフシ¥¥しぼりしぞや。¥J詞¥¥取わけ/今宵{こよひ}は殿
の/逮夜{たいや}。口にもろ++のふ/浄{じやう}をいふても。/慎{つゝしみ}に慎を/重{かさぬ}る由良「ノ」助に。よう/魚肉{ぎよにく}
をつき付「ケ」たなア。いやといはれずおうといはれぬ胸の苦しさ。三代/相恩{さうおん}のお主の/逮夜{たいや}に。
/咽{のど}を通した其時の心どの様に有ふと思ふ。五/体{たい}も一度に/脳乱{のうらん}し。四十四の/骨{ほね}々も/砕{くたく}
る様に有たはやい¥J地ハル¥¥ヘヱヽ/獄卒{ごくそつ}め¥Jウ¥¥/魔王{まわう}めと。¥J上¥¥土に/摺{すり}付「ケ」¥Jウ¥¥/捻{ねぢ}付「ケ」て¥Jスヱ¥¥無念「ン」。涙に¥J中¥¥くれけるが。¥J詞¥¥コリヤ
平右エ門。/B前錆{さいせんさび}刀を忘「レ」置たは。こいつをばなぶり殺しといふしらせ。命取ずと/苦痛{くつう}
させよ。□政¥J地ハル¥¥/畏{かしこまつ}たと抜「ク」より早く。¥Jウ¥¥/踊{おどり}上り飛上り。切「レ」共/僅{わつか}二三寸。¥Jウ¥¥明「キ」所もなしに/疵{きず}
だらけ。□百¥Jウ¥¥のた打廻つて。¥J詞¥¥平右殿。おかる殿。¥J地色ハル¥¥/詫{わび}してたべと手を合せ。¥Jウ¥¥以前「ン」は/足軽{あしがる}づれ也と。
¥Jウ¥¥目にもかけざる寺岡に¥Jフシ中ハル¥¥三/拝{はい}するぞ見ぐるしき。□此¥J詞¥¥此場で殺さば/言訳{いひわけ}むつかし。
くらひ/酔{ゑふ}たていにして。¥J地ハル¥¥舘へ連「レ」よと/羽織{はおり}打きせ¥J中¥¥/疵{きず}の口。¥Jハル¥¥□信隠れ聞たる/矢間{やさま}
千「ン」崎竹森が。¥Jウ¥¥/障子{しやうじ}ぐはらりと¥J色¥¥引「キ」明「ケ」。□三□人¥J詞¥¥由良「ノ」助殿段々/誤{あやま}り/入「リ」ましてござ
ります。□此それ平右エ門。くらひ酔た其/客{きやく}に。/加茂{かも}川で。/水旨{ざうすい}をくらはせい。□政ハア□此イケ*

江木鶴子 Mail: egi@ube-c.ac.jp
前田桂子 Mail:maeda@frontier-u.jp